熊狩り事業

成功の保証がないから、面白い!

中小メーカーとデザイナーを結ぶ「熊狩り事業」の挑戦

Part.2

商品開発事例 商品:スクラムスナック デザイナー:eskimo 渡辺 仁

デザイナーの名前をパッケージにも

菅:事業の原案を考えている時に、実力があり、デザイナーの現状について客観的に言葉にできる渡辺さんに出会ったんです。デザイナーの方でこういう方は本当に稀有な存在です。彼から今のデザイナーの状況をより詳しく教えてもらいました。

 

デザイナーは、自分の能力をお金に変える方法についての教育をまるで受けていないので、「雇われる」か「自分のデザインをお金に変えてくれる存在を待つ」しかできないことが多いんだそうです。これはデザイナーにとって大変苦しい状況です。クリエイティブなことやオシャレなことを表現したい人達なのに、置かれた状況は全くクリエイティブではありません。

 

渡辺さんと出会いデザイナーの現状をよく理解したことで、この事業を具体的な形にすることができました。渡辺さんとの話の中で、パッケージに「Designed by ●●」としてデザイナーの名前を入れることがすごく大切なことだと教えてもらい、実現しました。

 

デザイナーの名前がパッケージに入るのは、嬉しいですね!

 

渡辺:これは、他社とのお付き合いでは考えられないことなんですよ。

企業さんとのお取引の実績は、公表していいものはほとんどない。デザイナーは実績で選ばれることが多いので、本当に困ったことなんです。

デザインしたパッケージに名前を入れられることは、これから「熊狩り事業」に参加するデザイナーさんには、大きなメリットですね。

チームの一員として、企画から参加

今回の商品「スクラムスナック」の企画開発は、どのようにスタートされたんですか?

 

渡辺:通常の企業さんとのパッケージデザイン案件では、要件が既に決まっていることがほとんどなんです。色見はピンクでとか、春らしく…とか。

 

今回、「スクラム」という言葉と「商品が売れるための勘所」などの概要は決まっていましたが、デザインとしてはほぼゼロスタート。

 

3者で色々と議論しながらチームの一員としてデザインを制作していきました。デザインは任せてもらっている感じがあり、とてもやりやすかったです。実は、フリーランスで仕事をしていると、「チーム」の仕事は、なかなか経験できないんです。

 

菅:普通は結びつかない人同士が得意と知恵を持ち寄って、結びついてチームで事業を行う。こんな経験はあまりありません。

 

でも、これが世の中の当たり前のことになればいいと思っています。

企業に雇用されてコツコツお給料をもらう働き方がありつつ、チームに参加して熊(利益)を目指していく全く別の形もある。そんな風に世の中に選択肢が増えていけばいい。

スクラムスナックのパッケージ(左:コンソメ味 右:醤油ラーメン味)

チームの一員として、企画から参加

渡辺:デザイナーというと、アーティスティックな芸術家に憧れる若い方も多い。でも、デザイナーって「売れるもの」をつくらなきゃいけない。売れるものを作らなきゃ、デザイナーじゃない。ただの、芸術家なんです。

 

熊狩り事業への参加は、「売れる」商品について理解を深め、お金を作る現場に立ち合う経験。菅さんは、商品開発のネタをたくさんお持ちで、たくさんのヒット商品を作ってこられた。中小メーカーが持っている様々な素材をどう料理するかの可能性はいくらでもあるんです。

 

仕事で楽しむって、難しいことです。でも個人で仕事をしているから、自分のやりたいことができるかどうかも大切にしたい。「熊狩り事業」はかなり ”楽しめ” ました。

 

自分がやってきた経験と知識。それを理解してくれる人と一緒に同じ商品を企画デザインできる喜び。それをかみしめながら面白さがじわじわ出てくる。結構楽しみ方が深い感じでした。

菅:チームメンバーは「熊を狩る」ということに焦点を絞っていく必要がある。今の企業は分業分業で業務範囲が区切られることも多いが、この「熊狩り事業」ではデザイナーもデザインだけでなく商売の全体を知ろうとしていかないといけない。「売れ続けることに全員が責任を持つ」ということです。

 

全体から企画を考えて、最終的に売れる。「売れる」ことが大事です。企業経営としては当たり前のこと。渡辺さんには理解していただき、一緒に取り組むことができました。
 

渡辺:成功の保証がないこともリスクも理解した上で、面白がれる人が向いていると思います。必ず成功するとかって、面白くないじゃないですか。リスクがあるからこそ、高揚感があるんです。

熊狩り事業に参加してみたいデザイナーの方へ

最後に、今後「熊狩り事業」に参加してみたいデザイナーや学生の方へメッセージをお願いします。

 

渡辺:事業に参加することで得られるものはたくさんあります。報酬面でのリスクが気になる方もいるかもしれませんが、断ることで終ることはいっぱいあるんです。参加することで、終ることはない。チャレンジして、たとえ報酬がなかったとしても、SNSでアップしてもいいし。それはゼロにはならないですよ。

 

「熊狩り事業」のリーダーは、長年企業経営や商品開発のご経験を積まれてきた菅さん。菅さんと一緒にチームで働ける機会を是非活かして欲しいです。

中小メーカーとデザイナーの皆さんへ

菅:センスのよい知的財産権は、中小メーカーやデザイナーにこそ武器となります。大手やライバルとの疲弊競争をさけて生き残るには、新分野をつくり、長期に独占するのが一番です。そのための武器が知的財産権なんです。この「熊狩り事業」は知的財産の知識とセンス、商品企画開発の経験とマーケティング能力を活かして、「競争しないで独占的に売れ続ける商品」を作ろうということです。

 

メーカーの皆さんには自分の商売をまったく別視点でみつめるよい機会になるし、商品化に至らなければ実費以外ほとんどお金もかかりません。外部デザイナーとして参画するみなさんも、「売れるためのデザイン」を作っていただくことで、その経験を積みながら、メーカーの売上に伴って収入を得ることが可能です。

 

熊狩り事業は、雇用でも一般の事業契約でもないんだけれども、決して冷たい関係ではない。まるごとの商売を一緒にやりましょうということです。デザイナーにとっても、中小メーカーにとっても全く新しい試みです。今の時代は無難で中途半端なものは刺さらないし、かといってエッジなモノにリスクがはれる余裕のあるメーカーなどありません。その意味でも、このモデルはとても理にかなっていると思います。

 

「熊狩り事業」の試みは、補助金プロジェクトや継続的な雇用とはまったく違った新しいスタンダードとして、今後の当たり前の仕組みになっていくとも感じています。この考えに共感いただけるメーカーやデザイナーの皆さんにぜひご参加いただきたいと思います。


 

本日はありがとうございました!

取材 / 執筆:非営利型株式会社Polaris まちのせいさく部 さいとうようこ

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