熊狩り事業

成功の保証がないから、面白い!

中小メーカーとデザイナーを結ぶ「熊狩り事業」の挑戦

Part.1

商品開発事例 商品:スクラムスナック デザイナー:eskimo 渡辺 仁

熊狩り事業とは?

「熊狩り事業」とは、ソーシャル知財株式会社が、熊狩りチーム(商品企画製造販売ユニット)のリーダーとなって、その事業にふさわしい仲間(中小メーカーとデザイナーなど)を集め、熊を狩る事業(新分野創造)を言い、うまく熊が狩れた(長期利益が出た)場合は、その貢献度に合せて仲間に配分する新しい社会的な取り組みです。

弊社代表の菅は、大手生活雑貨メーカー(株式会社ノルコーポレーション)を自ら創業し、30年にわたって数百の商品企画開発に携わってきました。10年ほど前より、中小メーカーが生き残るための知的財産権の重要性に気づき、知識を深めてきた菅。知的財産権の知識を活用し、デザイナーと中小企業メーカーを結ぶ、全く新しい商品開発の形を模索してきました。

そんな時に出会ったのが、2018年7月28日開催「ビジネスにおける“今”のAIを共有するカンファレンス THE AI」にて、落合陽一氏が語った「世を捨てよ、クマを狩ろう.」という言葉。落合陽一氏の言葉にインスパイアされて、これまで考えていた中小企業とデザイナーを結ぶ商品開発ビジネスモデルを「熊狩り事業」と名付けました。

ソーシャル知財株式会社初の「熊狩り事業」に外部デザイナーとして参画した、デザインユニットeskimo 渡辺仁さん。今までにない取り組み「熊狩り事業」に参加した経緯や理由を聞きました。(対談者:ソーシャル知財株式会社代表 菅 喜嗣

デザインユニット eskimo

渡辺 仁(ワタナベ ジン)

1975年東京生まれ。工業デザイン出身。玩具の企画・ディレクター、海外経験などを経て、2008年よりデザインユニット「eskimo」として活動。商品関連のデザインを中心に幅広い業務に関わり、特に、漠然とした「想い・アイデア」を言葉やデザインで具現化する能力は好評を得ている。またオリジナル作品(立体・平面)を制作し、国内外の展示会・イベントに積極的に参加している。

「熊狩り事業」にチャレンジした理由

今回「熊狩り事業」にチャレンジした経緯と理由を教えてください。

渡辺:株式会社ノルコーポレーションの商品にeskimoのイラストを使っていただけることになり、ご縁ができました。菅さんから、ソーシャル知財株式会社の知的財産と中小メーカーの製造ノウハウとデザインを掛け合わせて新しい発想の商品を開発するとお聞きして。本当に素晴らしい取り組みだなと。

eskimo 渡辺さんとの出会いのきっかけになった環境デザインのポスター

ストーリー性もあり、メッセージ性もあるイラストが出会いのきっかけに。

どんなところが素晴らしいと思われたんですか?

 

渡辺:「ただ単に商品開発を行うだけではなく、中小メーカーもデザイナーも継続的に食べられる新しい仕組みを作りたい」と菅さんがおっしゃったんです。

 

今の時代、中小メーカーが継続的に食べていける環境ってすごく難しい。デザイナーも同じです。フリーランスをやっていると本当にひしひしと感じるんですけれど、継続的な収入が期待できる環境って、会社員じゃないと難しい話です。

 

そんな今の時代ではありえない仕組みを、大きな会社のトップが本気で作る話なんて聞いたことがない。これはもう本当にすごいことだなと。

 

菅:私は中小メーカーと組むにあたっては、製造方法はもちろんロットや型代など数字的な事を社長さんからとことんお伺いするところから始めます。一方で生活雑貨メーカーや社会支援企業の代表もしてるので、フリーのデザイナーさんや学生さんと話す機会も多いのです。

 

実はこの両者はお互いの言語や価値観がまるで違っていて、そのままでは一緒に協業する事が非常に難しいのです。

 

あえて言わせていただくと、デザイナー側には「外のデザインが一番スゴイ」という勝手な思い込み、中小メーカー側には「デザインを変えて売れなかったら誰が責任とるんだ?」という不信感があると思います。だからお互いにリスクをとらなくてよい「オシャレな補助金プロジェクト商品」ばかりができてしまいます(笑)。

 

私はそういう状態が社会的にも本当にもったいないなあと思っていて、いろいろ試行錯誤でたどりついたのがこのモデルです。我々がリーダーになって両者をつなぎ、大きな投資なしに発想とデザインを変える事で新しい商品分野を作り永続させようという考えです。

“独占的に売れ続ける商品を作る” これが一番大事

口で言うのは簡単ですが、なかなか難しいことですよね。
 

菅: 「作れて 売れて 利益が出て 長続きする」これが商品開発の4原則です。

逆は当然「作れない、売れない、儲からない、打ち上げ花火」ですが、実際は製造と流通とお客さん側の理屈を学ばないで、表面がオシャレなだけの逆方向の企画を出して来る人や会社が本当に多い。

 

我々はまず既存商品の発想自体を変えてバカ売れする可能性だけを考え抜き、仕様を少しだけ変えてそれをセンスの良い知的財産権で守ります。もちろん味や品質の部分は我々ではどうしようもないのでメーカーさんにおまかせします。大きな初期投資をせずに発売後にもライバルが競争する気すら起こらない商品が最高と思います。

 

その商売的な骨格を皆で徹底的に考え抜き、デザイナーがそのコンセプトをトコトン理解した上でデザインし、さらにそれを揉んでいきます。

 

中小メーカーさんに長期間儲けていただかないと、唯一の収入源であるメーカーからのロイヤルティー(知財使用料 / 販売歩合)がもらえずこのモデル自体が成り立たないので、チームの全員が「売れ続ける事」に命をかけないといけないんです。

 

もちろんそれでも絶対成功する保証はないですが、そこは徹底していくしかないですね。
 

「熊狩り事業」でメーカーに利益が出た場合、デザイナーへはどのように分配されるのでしょう?

 

菅: 渡辺さんのように実力も実績もある方から、こちらで再教育が必要な学生さんまで幅広くいらっしゃるので、ロイヤルティーの分配方法は固定ではありません。

 

今はスタートしたばかりですので、商品ごとの特性やデザイナーの能力、熊狩り事業の理解度、貢献度合い、スピードなどを元にケースバイケースで決めざるを得ないです。とは言っても、よくあるネットコンペの様な冷たい関係では全くないので、例えばデザイナーの負担が大きすぎると判断すれば、万一全く売れなかったとしてもソーシャル知財側がリスクをとって事前に決めた規定額を払うような事も出てくると思います。

 

参加を希望するデザイナーの方に伝えたい事は何ですか?

菅: 当たり前ですが、我々のノウハウや知的財産は一朝一夕にできたものではありませんので、そこに感謝と敬意を持てる方に参加して欲しいです。リーダーと仲間に対する信頼がなければ、いくら能力が高くてもメンバーにはなれません。

 

また学生さんなどこれからの人に「自分のデザインを世に出す」事が第一の方がいらっしゃいますが、「売れ続ける商品を一緒に作る」事に強い気持ちを持ってもらえない方には無理です。もちろん一緒にヒット商品が作れれば自分のネームも入るので「結果的に有名になる」確率は他のどの会社より大きいと思っていますけど(笑)。

 

雇用でも教育でも一般的な事業契約でもないので、ここに入ればなんとかなる様な期待はしないでください。それでも一所懸命取り組めばどんな学校や会社よりも食べていくノウハウを実地に学ぶ事ができると思います。

 

既にプロで活躍されてる方も通常の業務契約とは考え方が違うので、まずは現場に来ていただいて我々の考え方や進め方をよく理解したうえで、チャレンジしていただけると嬉しいですね。


渡辺:この「熊狩り事業」は、リーダーがいて、皆で熊を狩ってそれを分け合う。個人で仕事をしているフリーランスの人であればわかりやすいと思います。サラリーマンの人や学生さんには理解できない人もいるかもしれません。働いたのに、働いた分のお給料が保障されていないなんて…。

 

商品が売れれば、自分の報酬も増えていく。商品が売れなければ報酬がゼロかもしれない。かなりリスクもある話なんです。

でも、そのリスクもわかってた上で、渡辺さんは「熊狩り事業」に参加された――

渡辺:終身雇用の原則はもうとっくに崩れています。隣の人と同じようにしていれば問題なく暮らしていけた時代もあったが、今は違う。あきらめるか、闘うかしかないんです。

 

リーマンショックの時に、大きなクライアントの仕事が止まってしまった。そうするといきなり収入が減るんですよね。これは恐怖でした。大きい企業とだけ付き合っていくって、安定性が高いようで、やはりリスクがある。

 

その後、60%は安定的なクライアント、40%はチャレンジする案件と考えています。経

験を増やせば増やすほどクリエイターの世界は評価されますし、チャレンジは大切にしています。

 

チャレンジの気持ちが強かったと。

渡辺:今回、菅さんに出会ってこの事業の素晴らしさを感じた。企業を大きく育ててきた経営者に、こういう考え方をする人がいるんだ――と、びっくりしたんです。とにかく、菅さんの近くで一緒にチームに参加したいと思いました。

 

人との出会いは、本当にもうタイミングでしかないじゃないですか。このチームに入れてもらう機会は”今”しかない。

 

”チャレンジしなければ” という気持ちは常に持っています。将来への投資ですね。むしろ、お金を払ってでも、やりたいことはやっていかなければならない。

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